- この記事のハイライト
- ●所有者不明土地の増加が社会問題になっていることを背景に不動産の相続登記が義務化される
- ●正当な理由なく相続登記の申請を怠った場合は罰則の対象になる
- ●相続したくない土地は国庫に帰属させることが可能であるが審査手数料や負担金が発生する
相続登記とは、建物や土地などの不動産を所有する方が亡くなったときに、不動産の名義を相続人に変更する手続きのことです。
これまで相続登記の申請は任意とされていましたが、2024年4月1日以降は義務化されます。
この記事では、相続登記が義務化されることになった背景や内容、相続したくない場合の対処法などを解説します。
大阪府岬町や泉南市、阪南市などで不動産を相続するご予定がある方は、ぜひ参考にご覧ください。
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不動産の相続登記が義務化される理由や背景とは?
冒頭でも触れたように、不動産の相続登記が2024年4月1日から義務化されます。
そもそも、なぜ相続登記は義務化されることになったのでしょうか。
これには所有者不明土地の増加が社会問題となっていることが関係しています。
国土交通省の調査によると、登記簿に記載されている土地のうちの約20%が「所有者不明土地」であることが判明しています。
所有者不明土地とは、不動産登記簿により所有者がすぐに判明しない、または判明しても連絡がつかない土地のことです。
このような土地は、親から相続して売却または活用する際に、多くの方に連絡を取って同意を得なければなりません。
書類収集や手続きだけで多くの時間がかかり、すぐに売却や活用ができないというデメリットが生じます。
通常、不動産の所有者は登記簿で確認が可能です。
しかし、相続登記が義務化されていないことで手続きが後回しにされ、所有者不明の土地が年々増えてしまっているのです。
そこで政府は所有者不明土地の利用を円滑に進めるべく、相続登記を義務化することとしたのです。
相続登記をしていない不動産が多い理由とは
被相続人が亡くなった際におこなう死亡届の提出や相続税の申告などには期限が設けられています。
期限内に手続きをおこなえないと、過料や延滞税が課されてしまうなどのデメリットが生じます。
一方で相続登記は任意であり、いつまでに申請しなければならないなどの決まりもありません。
相続登記をしなくても相続人に対して直ちに不都合が生じるわけではないため、所有者不明の土地が年々増えてしまっているのです。
相続登記をしない不動産が増えるとどのような問題が生じる?
不動産の相続登記をおこなわずに放置していると、2次相続、3次相続と共有相続を繰り返すことになります。
相続が数次にわたり共有者が増えてしまった不動産を「メガ共有」といい、以下のような問題が生じます。
- 公共事業や再開発が進められない
- 不動産の売却や活用がしにくい
- 復興に向けた用地取得が難しくなる
不動産を売却または活用するには相続人全員の同意が必要です。
しかし、メガ共有状態となった不動産は相続人の特定が困難で、また特定できたとしても連絡がとれないことも珍しくありません。
そうなると、不動産の売却や活用ができなくなるだけでなく、公共事業や復興事業が円滑に進まないといった社会問題も引き起こします。
相続登記を義務化する背景には、こうした事態になるのを避ける目的があるのです。
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不動産の相続登記!義務化の内容とは?
ここでは、相続登記が義務化されたあとの具体的な内容を解説します。
相続登記の申請義務化
相続登記の義務化に伴い申請期限が設けられます。
相続により不動産の所有権を取得した相続人は「不動産の取得を知った日から3年以内」に相続登記を申請しなければなりません。
また、遺産分割協議において不動産を取得した場合についても、遺産分割が成立した日から3年が経過する日までに申請が必要です。
もし正当な理由がないにも関わらず申請を怠った場合は、10万円以下の過料を課される可能性があるため忘れないように注意しましょう。
相続人申告登記の創設
相続人申告登記とは、法務局に相続人であることを申告して、相続登記の申請義務を一時的に免除してもらうことです。
この制度は「遺産分割協議がまとまらない」という相続人側の事情を考慮して創設されました。
相続登記申請の義務期間内に以下のことを申告すれは、この相続人に限り登記申請義務を履行したものとみなします。
- 不動産所有者の死亡により相続が開始したこと
- 自分がその相続人であること
この制度は「相続が開始したこと」と「自らがその相続人であること」を示すものであり、相続登記とは別ものです。
そのため、遺産分割協議がまとまれば、その日から3年以内に登記申請をおこなう必要があります。
登記名義人の氏名または名称、住所変更の登記の義務付け
登記簿上の所有者の氏名や名称、住所が変更された場合も、変更登記をおこなう必要があります。
変更登記については、氏名や住所を変更してから2年が経過する日までに申請しなければなりません。
正当な理由がないにも関わらず申請を怠った場合は、5万円以下の過料を課される可能性があります。
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相続したくない不動産がある場合は義務化されている相続登記はどうする?
不動産の相続登記が義務化されるとはいえ、さまざまな事情により「不動産を相続したくない」というケースもあるでしょう。
なかには相続放棄を検討なさる方も多いかと思いますが、相続放棄をするとすべての財産を取得できなくなります。
現金など相続したい財産があるケースでは、土地の相続を避けたいがために相続放棄を利用することは難しいでしょう。
このような問題を解決するために、相続した土地の所有権を放棄して国庫に帰属できる制度も新設されます。
相続したくない土地を国庫に帰属させる際に必要な手続きの流れは次のとおりです。
- 承認申請
- 要件の審査と承認
- 申請者による負担金の支払い
- 国庫に帰属
相続したくない土地を国庫に帰属させるには、まず法務大臣に対して承認申請をおこないます。
土地が共有地である場合は、共有者全員で申請しなければなりません。
承認申請をすると、法務大臣(法務局)によって要件に見合っている土地かどうかの審査がおこなわれます。
建物付きの土地や危険な崖にある土地、境界が明らかでない土地は国庫帰属が認められない可能性があるため注意しましょう。
要件を満たした場合は、審査手数料と土地を手放してから10年分に相当する管理費の支払いが必要です。
現状の国有地の標準的な管理費用(10年分)は、200㎡の宅地で約80万円程度、粗放的な管理で足りる原野で約20万円程度です。
審査手数料と負担金の支払いを終えたら、その時点で土地の所有権は国庫に移転します。
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まとめ
不動産の相続登記が義務化されることになった背景や改正後の内容、土地を相続したくない場合の対処法について解説しました。
相続登記の義務化に伴い、相続したくない土地は国庫に帰属させることが可能になりますが、審査手数料や負担金も発生します。
相続したくない土地を手放すのであれば、国庫に帰属させるよりもまずは売却を検討してみてはいかがでしょうか。
私たち「泉州不動産.com」は、大阪府岬町や泉南市、阪南市、泉佐野市、熊取町、貝塚市、岸和田市、忠岡町、和泉市、泉大津市、高石市を中心に不動産売却のサポートや不動産買取をおこなっております。
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